Handling Club

SPORTS DRIVING

山野哲也ハンドリングクラブに参加しよう!


2008年11月9日に山野哲也ハンドリングクラブ(初心者向けプログラム)に参加してきましたので,レポートしてみたいと思います.いわゆるスクール(練習会?)に分類できるものだと思いますので,これからスポーツドライビングにチャレンジしようという方の参考になれば幸いです.


ハンドリングクラブとは?
全日本ジムカーナで史上最多となるV14を達成し,スーパーGTでもGT300クラスで3年連続タイトルを獲得するなど,大活躍中の山野哲也選手を中心に,山野選手の意図をくみ取るドライバーが直接レッスンをしてくれるプログラムです.

開催日程,費用等,詳しくはこちら

使用するコースは,ツインリンクもてぎの南コース.51,000m2の広大なスペースに,白線でコースレイアウトが描かれています.外周にはクラッシュパッド,コース間のマージンも十分に取られているので,たとえスピンしたりしても,よほどのことがない限り他車との接触の恐れはありません.少ないリスクで走れるので,思いっきり色々なことが試せる場です.


参加車両が多種にわたるのも特徴の一つかも.11/9の回では,うちのインテグラ(DB8)を始め,シビック(EK9,FD2),プレリュード(BB6),アコードユーロR(CL7),S2000(AP1),NSX(NA1),ランエボ,インプレッサ,レガシィ,スカイラインGT-R(R34),シルビア(S15),フェアレディーZ(Z33),RX-7(FD3S),RX-8,アルテッツァ,ヴィッツ,BMW M3,エリーゼ,F430といった顔ぶれ.他のマシンの走りを見ることが出来るのも楽しいですね.



初心者プログラムの内容

本日の講師は,ポルシェなみの剛性を実現したDC5を作ったことで有名なオペラパフォーマンスの山本泰吉選手.


ハンドリングクラブは,4限に分かれていて,さらに参加者を3グループに分け,1グループ20分の枠で走行を行います.初心者向けプログラムでは,午前中の2限を「ブレーキング」と「コーナリング」の練習に当て,午後の2限を左回り,右回りのフリー走行に当てています(普通のコースだと,午前午後ともフリー走行のみ).

最初のブレーキングは,左周回を使い,1,2コーナーを全開加速で行った後,3コーナーの前でフルブレーキで目標位置制動をするもの.3回やって,ぴったり止まれるようになるのが目標です.で,やるごとに講師がアドバイスをくれます.
とりあえずは,ブレーキペダルをガツンと(ABSが作動するまで)踏むことが目標.それで自分のクルマの制動性能が分かったら踏み始めの位置を予測して止まること,踏むのが速すぎたと思ったら少しブレーキをゆるめて目標位置に合わせることが課題です.
ここで単なる急制動の練習と違うのが,スタートから加速区間でコーナリングしなくちゃいけない点.ブレーキング始める時に横Gが残っているとまずいのはもちろん,しっかり速度を乗せるライン取りやスロットルの加減が難しいです.特に最初だったので,探りながら速くしていった感がありますね.単純に直線で加速するなら,毎回ほぼ同じ速度でブレーキングポイントに突入できますが,コーナリングも入ると毎回同じ速度に持っていくのが難しく,加速具合によってブレーキングポイントを前後させてやらないと目標位置制動が難しくなります.シンプルなように見えて,かなり奥が深い練習です.本当なら10回以上練習したいところですね.

次のコーナリングの練習は,右周回のコースで,(左周回で言う)最終コーナー手前からスタートし,100Rをゆったり曲がりながら加速,50Rに突っ込み減速しながら15R,さらに10Rを回って停止となるコースです.やはりポイントは15Rから10Rの複合コーナー.なるべく外側からブレーキングを開始し,ある程度スピードが乗っている状態で15Rに進入.いったん外側までふくらんで,ちょいとブレーキを踏み,戻すと同時にステアリングを素早く切るとタックインして上手く回れます(DB8で,ヤスキチ選手に言われたとおりにやるとこうなります).
正直ここも難しいポイントです.それ以外のS字とかは,なるべく定常円旋回となるラインを取り,コーナリングフォースを最大限生かしながら回るコーナーですが,ここの回り込んでいるコーナーでしかも複合っぽい部分は上手い下手が大きく出るところだと思います.オーバースピードで進入するのは問題ですが,スピンを恐れずにオーバーアクション気味にブレーキングからステアリングとつなげてみると良いかもしれませんね.
こちらも3回の練習でしたが,やっぱり5回以上はやりたいところ.ただ,午後のフリー走行時とスタート地点は同じなので,午前のアドバイスを思い出しながら,午後に再び練習することが出来ます.

お昼ご飯を挟んで(昼ご飯は料金に含まれています),午後からは左周回,右周回のフリー走行です.各自テーマを持って走ると良いでしょう.例えば,曲がるブレーキの練習とか,振り回してみるとか.単に速く走るためにはどうすればいいかというのを鍛えると言うよりは,ブレーキングを残してみたり,アクセルをガバッと開けてみたり,間違った操作が間違いであることを“体験”してみることが大事だと思います.そうした時にどんな挙動が出るのか,どうカバーすると良いのか,逆に,別のシチュエーションの時は今の操作が使えるのでは?とか.

とにかくハンクラに限らず,「考えて走る」,考えると走ることを繰り返すのが一番だと思います.




同乗走行のススメ

このハンドリングクラブの特徴の一つが,同乗走行があること.同乗走行とは,アドバイザーが参加者のクルマを運転して,プロのテクニックを間近で見ることができたり,自分のクルマが持っているポテンシャルを知ることができるというもの.

ハンドリングクラブでは,フリー走行枠の中で乗りたい人が随時申請する方式をとっているので,走り始めに走行ライン等の勉強をするのも良いし,走行中に「なんだか上手くいかないな」と思った時にお願いするのもあり.



やっぱり,プロに運転してもらうと,クルマの動きが違うし,もっとスムーズな運転をすべきなのが分かります.あと,基本的にクルマを振り回す方向で(少々オーバーアクション気味に)運転してくれるので,振り回すのが怖いという方も是非体験してみるといいかも.自分のクルマの滑り出し具合とかが体験できますよ.私も,滑り出しが案外穏やかなのがわかって,「これなら自分でも振り回せるかも」と思った一人です.その後実際に真似てみると,ジワーッと滑る感じが.まだまだ練習が必要ですが,少なくとも新しいことに挑戦する“きっかけ”に同乗走行は良いと思います.


ハンクラを終えて

なんと言っても全開で走れるのが楽しかったですね.初めてだったので,緊張した部分もありましたが,後半は思い切って走ることが出来ました.

DB8だと,ノーマルでも足が硬く,挙動変化が掴みづらいという欠点はあります.初心者にはもう少し柔らかい足の方が勉強になるかも.とはいえ,素材がいいので恐怖感は少なく,思いっきり楽しめました.

でも,課題も沢山見つかりました.基本的なところだとブレーキングやヒール&トゥー.今回はとりあえずガツンと踏むことに集中してしまいましたが,ブレーキコントロールをやっていきたいですね.同乗走行での走りと比べると,プロの走りは絶対的な制動力は高くないんですが(ABS手前を使っている),進入速度の調整が絶妙で,コーナリング速度が全然違いました.私の場合はとりあえず踏んだら金縛りにかかったみたいに踏み続けてて,コーナーが迫ってきたから「さあ緩めてステアリングを切ろう」というように,コントロールするまではいっていません.だから,曲がるブレーキの余地が残って無くって,結果的にターンインになりきっていない状態だと思います.あとはもっと色々なことを試してみたいです.特に振り回しは,安全に走るためにも,恐怖感をなくすためにも必要なテクニックかなと.DC2ほどではありませんが,DB8も一応はリヤが出やすいセッティングなので,進入速度を速めたり,ブレーキの踏み具合を変えてみたり,ステアリングの切る速度を速くしてみたりと,チャレンジしたいですね.

ドラテクだけじゃなく,クルマの方も色々いじりたくなってきます.やっぱりフルバケと4点式ハーネスはあった方が集中できると思います.あとは,メーター類.水温,油温,油圧等は,やっぱりモニタリングできた方が安心.あとはシフトインジケーターを入れてみるとかも考えています.ブレーキや足回りと言った部分もいずれ不満が出てきそうですね.パワーアップよりもインテリアや足回りの方が,気持ちよく走るのに必要だなぁと思っています.



とにかく体験しなくちゃ始まらない.どんなスポーツでも楽器でもなんでもそうですが,知識だけではダメで,経験し,それを生かしてこそ上達するものです.上達すればもっと楽しくなるでしょ!?
なかなか時間を取ったりするのは大変ですが,機会を見つけてまた参加したいです.
 


ホーム一つ戻る